ド イ ツ の 橋     (December 1999)

 

1980年スイスのチューリッヒへケーブルの研修へ行き、1週間滞在しました。その間一言も日本語がしゃべれず苦労しましたが、帰りにドイツのシュテュットガルトのレオンハルト設計事務所に立ち寄りました。そこで出会ったのが三ツ木幸子さんです。

三ツ木さんは単身レオンハルト博士の家に同居しながら勉強していたのですが、久しぶりの日本語をしゃべらせてもらい、シュテュットガルトの街を案内していただきました。

わずか1日の滞在でしたが、シュテュットガルトはすてきな街であり、レオンハルトが1961年に初めてポリエチレン管を使ったBBRVケーブルのシラー斜張橋をはじめ、自碇式吊橋のローゼンシュタイン橋、吊床版のケーブルトラス式吊橋のクロイネ・ローゼンシュタイン橋などを見学できました。

このたび「橋梁と基礎」誌の11月号に、新日本技研の上阪さんと長崎大学の松田先生のドイツのすばらしい吊構造物が紹介されました。三ツ木さん(結婚されて今は寺尾さん。トピー工業より現在は綜合技術コンサルに勤務中。)にお願いし、今年6月に訪問したというステュットガルトの橋の写真を戴きましたので、その一部を紹介します。

経済性も確かに大切ではありますが、橋にかかわる身としてはいつまでも夢のある構造物に楽しさを感じます。日本も早くそのような雰囲気に戻ってほしいと思います。

 

今、日本のプレハブケーブルはほとんどがポリエチレンを被覆したケーブルとなっています。そのはしりがこのシラー歩道橋です。はだかのPC鋼線を使いPE管を被せその隙間にセメントグラウトしたものですが、1961年としては画期的なケーブルの防食方法でした。1980年訪問時と変わっていないようです。

 

ローゼンシュタイン橋です。1980年訪問時、変わった橋だなあと思った当時ではめずらしい自碇式の吊り橋です。

単なる吊り床版橋かと思っていましたが、下にケーブルトラスが張っています。1980年に訪問時には気がつきませんでした。クライネ・ローゼンシュタイン橋です。

ネーゼンバッハ渓谷橋です。車道の上に歩道橋配置するなど、日本人では発想できそうもありません。

ノルト駅歩道橋です。吊りケーブルの金具の取り合いなどにユニークさがあり、ケーブル屋としては参考になります。

ノルト駅歩道橋に隣接するハイルブロンナー歩道橋と思います。
 

その他三ツ木さんの写真のなかからおもしろいものをいくつか紹介します。